| 写真集/彼女のタイトル/西村康/photographers'gallery |
内容 リビングルームの彼女、雨の日彼女、虚ろな目の彼女、恍惚の彼女、AV女優の彼女・・・ どれも彼女の顔に違いはないが、いずれも彼女そのもではないどだろう。そして、モニター越しの彼女は彼の女ではなく、男たちの欲望の対象だった。「写真の彼女」の不安定な顔は収まるべき場所をもたず、いずれも日付と場所の限定された彼女の姿だ。二年にも満たない間に一人の女性の顔がかくも変容し続けたということに驚きを禁じえないが、おそらく彼女の同一性をを保証する唯一の顔などはじめから存在しないので。ここには私の所有物としての「私」の不在が露呈しており、それぞれの彼女を一つにより合わせるような「彼女のタイトル」もない。そして、写真には彼女の同一性と他者性とが多重に露光されているのだ。(帯文より) 小原真史(映像作家/写真批評) |