acetate アセテート/ピラネージ建築論 対話/G.B.ピラネージ
書  名 ピラネージ建築論 対話
著  者 G.B.ピラネージ
[翻訳]横手義洋 [校閲]岡田哲史
発  行 アセテート
定  価 1470円(本体 1400円+税)
判  型 210mm×140mm
ISBN4-902539-04-7

内容

幻視の建築家ピラネージによる建築論"PARERE SU L'ARCHITETTURA"を収録。古典主義建築の脱構築。論理の運動が「単調なる純粋さ」を挫く。訳者、校閲者による解題を付す。本邦初訳。

□序・ピラネージとは誰か(抜粋)□
彼は1720年ヴェネツィア対岸の都市メストレ近郊のモリニャーノに生まれ、ヴェネツィアでの初期修業を経て1740年始めてローマを訪れ、早くも1743年には、版画集『建築と透視画法第一巻』をローマで出版している。その後しばらくヴェネツィアへ戻るが、1744年以後ローマに住み、活動を続けることになる。1745年には『古代および近代のローマの景観』、1748年には『ローマの景観』、『共和制および帝政初期のローマの遺跡』を刊行し、1750年頃には『牢獄』初版出版、1756年には『ローマの古代遺跡』四巻を同時刊行している。翌1757年には考古学的活動が評価されてロンドンの「好古家協会名誉会員」に推挙され、1761年『古代ローマ人の偉大さと建築について』を刊行した。けれども、ピラネージは自分が版画家、考古学者であると思っていたわけではない。彼は自らをヴェネツィア建築家と署名するのが常であって、建築家として生きることをめざしていた。ピラネージは想像力豊かな版画家であり、彼の版画は、奇想や幻想を含み、透視画法的にも大胆で演劇的な作品を生み出した。彼が得意としたローマの地誌的な景観版画は、大旅行(グランツール)の時代に、ローマの思い出の品、おみやげ(スーヴニール)としてよく売れ、文字通りビジネスとして成り立っていた。そしてローマの古代遺跡に関する調査の成果を版画作品によって公表し、考古学的研究の第一人者として評価されるようになった。こうしたピラネージの一連の活動は、決してバラバラなことではない。彼は、本源的な意味で「建築家」であった。すなわち、建築家とは、狭い意味では建築を設計し建てる人であるが、さらに言うなら、彼の時代と環境をより良くすることを試み、現代の創造性についてつねに考えつづける人物のことである。
―長尾重武